抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 特別研究員奨励費, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 1300000, indirect: -)
励起原子からの1光子放射による脱励起過程において、その放射強度が原子数の2乗に比例して強くなるという超放射が知られている。この現象は標的原子全体にコヒーレンスが発達することによる一種の協同現象である。超放射では標的原子がコヒーレントとなる領域(コヒーレント体積)は波長程度に制限される。これに対し、1原子から多粒子が放出される過程ではこの体積が波長に制限されず莫大な増幅が得られるという、マクロコヒーレント増幅機構が提唱されている。その原理を最も単純な例である2光子放出の場合を2光子対超放射と呼び、対超放射を世界で初めて発見することで、マクロコヒーレント増幅機構を検証することが本研究の目標である。これが達成されれば、従来大型の検出器・大量のターゲットによって行われてきた素粒子物理学の実験手法とは対照的な、レーザーによって生成されたコヒーレンスを用いた実験室規模の実験によってニュートリノ対生成のような長寿命過程の観測が可能となり新たなフロンティアの開拓につながる。
本年度の研究では前年度までに生成した標的のコヒーレンスをコヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)によって測定を行った。その結果、対超放射観測に必要なコヒーレンスを生成できていないことが分かった。この原因を突き止めるために、シミュレーションによってコヒーレンスを評価した。その結果、励起に使用しているレーザーのラビ振動数が標的原子集団内で大きく変化するために、原子ごとにコヒーレンスの成長が異なり、デコヒーレンスが起こっていることが判明した。