抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 若手研究, Category: 若手研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 3200000, indirect: 960000)
本課題では鉄合金のバリアント結合則(以下,結合則)を明らかにするために,変形の連続条件(rank-1接続)を軸としてバリアントペアの形成優先度を予測する手法を確立する.レンズマルテンサイトのミドリブや薄板状マルテンサイトの結晶学は,晶癖面における不変面条件で説明できることが知られている.しかしrank-1接続の観点からは,バリアント同士が結合するときに,結合面において不変面条件からの偏差が生じる.
前年度は,レンズマルテンサイトについて不変面条件からの偏差と結合頻度の関係を調査した.本年度は薄板状マルテンサイトが形成するFe-Ni-C合金について,旧γ粒内におけるバリアント結合傾向の二次元解析とシリアルセクショニングを行った.
解析の結果,結合面に生じる不変面条件からの偏差が小さなペア(3種類)が高頻度に形成されることが明らかになった.これはレンズマルテンサイトの場合と同様の結果である.EBSDの測定データを用いて,バリアントペアの内部に存在する不変面条件からの偏差を可視化した.偏差は二つのバリアントの結合面付近で最大となり,結合面から離れると減少した.偏差によって生じる回転軸と回転量はrank-1接続から要請される理論値とほぼ一致した.
シリアルセクショニングに適切なγ粒径,マルテンサイト体積分率を有する試料の作製方法を探索の後,シリアルセクショニング-光学顕微鏡法によりスライス画像を取得した.観察領域は500μm×300μm×100μmである.
三次元像の構築には光学顕微鏡写真に対して,バリアントの同定及びバリアント毎に色を塗り分ける必要がある.そのため現在効率化を図るべく,塗分けを支援するプログラムを作成中である.