抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 基盤研究(B), Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 13500000, indirect: 4050000)
昨年度、運動時の乳酸産生量を血中乳酸濃度から算出する方法を確立し、持久的トレーニングを実施したマウスに適用したところ、乳酸産生量として妥当な結果が得られた。そこで、今年度は運動時の血中乳酸濃度が低いことが明らかになっているperoxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1 (PGC-1)αの過剰発現マウスにおいて運動中の乳酸産生量を算出し、持久的トレーニングと比較・検討した。まず、PGC-1α過剰発現マウスの全身の乳酸取り込み能力は、野生型マウスと比較して有意に高いことがわかった。次に、絶対的な運動強度 (トレッドミルの速度)をあわせた運動中の乳酸産生量を算出したところ、PGC-1α過剰発現マウスの乳酸産生量は、野生型マウスと比較して有意に低値を示した。血中乳酸濃度が同等になるように相対的に運動強度を合わせた場合、PGC-1α過剰発現は乳酸産生量を増加させた。この結果は、全身の乳酸取り込み能力の高い動物が、コントロールの動物と同じ血中乳酸濃度を達成するためには、運動中より多くの乳酸産生量が必要であることを示唆している。また、重回帰分析により、持久的トレーニングを実施したマウスにおける乳酸産生量は、PFKとMCT4により正に、MCT1とミトコンドリア量により負に貢献していたが、PGC-1α過剰発現マウスにおける乳酸産生量には、そのような関係はみられなかった。このことから、PGC-1α過剰発現による乳酸産生量の抑制は、それらのタンパク質以外の影響が大きい可能性が示唆された。