抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 基盤研究(C), Category: 基盤研究(C), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 3200000, indirect: 960000)
本研究では、種々の分子夾雑・混雑環境でのDNA凝縮体の形成条件を検討し、メゾスコピックスケールの可逆的な微小凝縮場の形成がDNAに与える機能の解明を目指した。具体的には相分離凝縮場でのDNAの電子移動と核酸塩基損傷特性に着目し、光を用いて化学的アプローチにより解析を行うことで生体分子の微小反応場としての凝縮体の性質を調べた。DNA凝縮場でグアニン塩基、またその連続配列が電子移動により酸化損傷を受ける効率およびその特性については、まだほとんどが未解明である。そこで当該年度の研究ではまずホール捕捉により開環反応を起こすグアニン類縁体を含むDNA鎖を固相合成により合成し、光増感剤を含むDNA鎖とアニーリングにより相補鎖とした。この修飾DNAについてポリエチレングリコールを用いて人工的に作製した分子混雑環境下で液晶とした。修飾DNAを含む液晶について、光照射による電子移動をスタートさせグアニン酸化損傷を誘発する手法により、電子移動特性を評価した。高速液体クロマトグラフィーによる損傷塩基の定量を行い、それぞれの凝縮場での電子移動効率の評価を行った。その結果、凝縮場における電子移動効率の大幅な増大が観測された。解析の結果、液晶中でスタッキングした異なるDNA鎖間での電子移動が起こったことが示唆された。
当初は購入を予定していた備品の凍結乾燥機については消耗品代その他の研究費用がかさみ、購入できなかったため、デモ機の使用とあわせ、時間とサンプルおよび消耗品であるカラム代のロスがあるが、遠心濃縮とカラムを用いてDNAの精製をおこなった。その他、実験に使用する小型機器、試薬、合成DNA、HPLCカラム、チップやチューブ等を購入した。