抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 13900000, indirect: 4170000)
本研究では、分子固体の室温での三重項失活速度の推定法の確立を目的としている。三重項失活速度の推定法を正しく推定するためには、材料の三重項からの輻射速度(kp)、三重項からの非放射遷移速度(knr)、および三重項からの分子間電子移動を経由した失活速度(kq)の3つを少なくとも定量的に議論し、推定可能な計算法を見出すことが必要となる。
本年度までに、knrに関しては20のさまざまな種類の有機分子や錯体に関して、室温エネルギーでの全振動による分子配座変化を考慮したスピン軌道相互作用を計算することで、実験値との良好な相関が取れることを確認している。この手法を用いると、さまざまな分子のknrが推定可能となることを学術論文で報告した。
kpの推定に関しては、これまで計算量コストの問題から、室温の熱による振動や室温の熱によって統計的に生まれる配座変化が考慮された計算は行われてこなかった。本年度は、その計算法に切り込み、室温の熱による振動や室温の熱によって統計的に生まれる配座変化によりknrが増強されずにkpのみが増強される分子群が存在することを明らかにした。knrが増強されずにkpのみが増強される分子群のサイエンスとして、ヘテロアトムの共役系の面外振動が誘起する系を学術論文で報告し、分子の対象性が崩れる系は学術論文の投稿準備中である。これら論文の中で、全振動考慮型のkp計算法とキーとなる振動のみを変動させるkp計算法を提案した。
またkq に関しては、さまざまなゲスト分子を絶縁ホスト分子に分散した材料を評価する中で、ホスト分子の動きとゲスト分子のT1とS0間のスピン軌道相互作用の両者がかかわる失活モードが存在することを統計的に明らかにし、学会で発表している。