抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 基盤研究(B), Category: 基盤研究(B), Fund Type: competitive_research_funding, Overall Grant Amount: - (direct: 13300000, indirect: 3990000)
本年度は研究初年度であるため,基盤となる理論の検討を行いつつ,シミュレーションベース安全性に基づくいくつかの暗号方式を提案し,安全性証明を行った.具体的には秘密計算(Multi-Party Computation: MPC),カードベース暗号,高機能暗号技術などが挙げられる.
MPCについては,近年盛んに研究されている秘匿集合積プロトコルを扱った.Kolesnikovら(CCS2017)秘匿集合積計算の安全性証明を見直すことで,プロトコルの部品として用いられているOPPRF (Oblivious Programmable Pseudorandom Function) がプロトコルのある箇所では不必要な安全性を保証していることを見いだし,そこを削ったプロトコルに変更することでプロトコルの効率化に成功した.
カードベース暗号では,秘匿積集合計算プロトコル,n入力多数決プロトコルなどを扱った.我々が進めているカードベース暗号における秘匿置換の概念は,MPCやシミュレーションベース安全性と相性が良いことが分かっている.トランプのような物理的なカードを用いることで,安全性の直観もききやすく,本研究を進める上での重要な具体例になると考えている.
高機能暗号技術としては,鍵漏洩耐性暗号と検索可能暗号がある.どちらもシミュレーションベースで安全性を証明するが,鍵漏洩耐性暗号では「鍵が漏洩しても安全」であることを,検索可能暗号では「あまり重要でないと考えられる情報が漏洩しても安全」であることを数学的に保証する必要がある.どちらも情報が何らかの形で漏洩する場合が扱われており,その様な場合のシミュレーションベース安全性と十分統計量を考察するための重要な具体例になると考えて研究を進めている.また,どちらも計算量的に安全な方式であり,計算量的な統計量を考えるためにも重要である.