抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 13300000, indirect: 3990000)
本研究では,暗号理論分野で生まれたシミュレーションベース安全性を,情報理論的・数理統計学的な立場で考察し,情報理論的安全性(情報理論)と計算量的安全性(計算量理論)の間に新しい関係を見いだすことを目指している.具体的には以下の3つの課題を解決することを目標としている.
(A) 分離定理に基づく,新しく簡潔なシミュレーションベース安全性証明手法の開発.
(B) シミュレーションベース安全性では陽に意識されない,漏洩情報量の定量化とそれに基づく安全性証明.
(C) 計算量理論的な観点から見た,十分統計量や分離定理,条件付相互情報量の探求.それに基づく,情報理論と計算量理論の新しい関係性の模索.
研究課題(A), (B)については,本年度までに得られた成果を総合してBGW (Ben-Or, Goldwasser, Wigderson) プロトコル(Shamirの秘密分散法に基づく,和・積に関するマルチパーティ計算(MPC))に対する (A) 分解定理と (B)漏洩情報量に基づく,新しい一般的な安全性証明を得ることに成功した.(A)の分離定理による証明は,確率分布の変形のみで安全性が証明できる新しい方法ということができ,実質的に乱数の一様性が重要であることがわかった.また(B)については,しきい値法ベースの秘密計算の安全性証明が,秘密分散法の安全性証明とほぼ同じ技法で証明できることを明らかにした.この成果は電子情報通信学会英文論文誌(A)の2024年3月号に招待論文として掲載された.また,同学会総合大会(2024年3月)のチュートリアルセッションでも,本成果に関する招待講演を行った.以上を持って研究課題(A), (B)については一定の目処がついたと考えている.
本研究に関連して,マルチパーティ計算や高機能暗号に関するいくつかの成果を得て,国内・国際会議で発表することが出来た.