抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 基盤研究(A), Category: 基盤研究(A), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 33500000, indirect: 10050000)
本研究は,前腕切断者用の筋電義手として,自由度の高い運動能力と感覚の代替機能の実現を目指して,指先の触圧感覚と関節角のフィードバック機構を有する5指ハンドの開発を行い,筋電制御システムを利用して,切断者の手指動作の再建の課題に挑戦する.
課題は,メカ開発とセンサグローブ開発の2項目からなる.
メカ開発では,ワイヤー干渉駆動法を用いて軽量・多自由度・高出力を有する5指ロボットハンドを試作し,性能評価を通して改良し,筋電義手に適用可能な設計法を明らかにすることを目指した.2021年度においては,3名の成人前腕切断者に,試作した5指駆動型筋電義手を適用し,フィールドテストを行った.期間中3回のフィールドテスト評価では,自由度義手との性能差を,BBT(Box and Block Test)及びCarroll test等の評価試験によって比較し,有用性を評価した.
当多自由度義手は,国内2例目の筋電義手として,2022年3月31日,厚生労働省補装具完成用部品に指定された.
センサグローブ開発においては,導電性シリコンを応用することにより,指先の触圧と関節角を計測し,これを振動子を用いて断端部ソケットに伝達することを目的として,開発を進めた.2020年度においては,さらに,感覚のフィードバックの方法として視覚への映像変化として情報提示を行う方法を開発し,前述の触覚と聴覚へのフィードバックとのパフォーマンス比較実験を行った.患者への触覚のフィードバック方法として申請当初はボイスコイルによる振動フィードバックを検討していたが,2021年度に再検討し,フィードバックの呈示装置として骨伝導イヤホンを採用することとし,有効性検証のため,聴覚刺激を行いながら日常生活音を聞き応答する二重課題法を行い,人の囁き声に当たる30~40dBの小さな音に応答できること,これが日常生活を阻害しないことを明らかにした.