抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 12800000, indirect: 3840000)
人工情報を実世界にリアルタイムに重畳する拡張現実技術の普及が近年著しいが、拡張現実技術がヒトの認知・行動様式に及ぼす影響について、特に子どもを対象とした科学的に妥当な手法で検討した例は乏しい(cf. Shirai et al., 2020, Sci Rep, 白井,2021,新潟大学人文学部紀要)。こうした背景をベースに、初年度(2022年度)は、空中に投影された映像を裸眼で観察可能な空中像技術による拡張現実コンテンツを作成し、それらに対する子どもの行動を実験的に調査した。
6-9歳児60名(平均年齢7.9歳)の子どもが実験に参加した。空中像提示装置、またはタブレット端末を介して、参加児のジェスチャーにリアルタイムに反応するCGキャラクターを提示可能な実験系を構築し、各参加児に、2つのキャラクター提示条件(空中像条件・タブレット条件)の両方で1分間ずつ遊んでもらった。その後、参加児に空中像条件・タブレット条件のどちらでもう一度遊びたいかを選択してもらったところ、前者を選択した参加児が有意に多かった(42/60名,両側二項検定 p < .003)。さらに、参加児が選択した条件で実際に再度遊んでもらい、その持続時間を測定したが条件間で有意差はなかった(Welchのt検定,p = .660)。これらの結果は、空中像による拡張現実コンテンツが子どもの関心を引きやすい一方で、実際の視聴行動には大きな影響がない可能性を示す。