抄録
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C), Fund Type: competitive_research_funding, Overall Grant Amount: - (direct: 3400000, indirect: 1020000)
Koterlitz-Thouless (KT) 転移に始まるトポロジカル相転移系では非常に遅い緩和によるシミュレーションの難しさが共通の課題になっている。非平衡緩和法は、遅い緩和によって平衡シミュレーションに困難を来たす系に、系統的な数値解析を実現してきた。さらに最近、ベイズ推定とカーネル法を利用して、動的スケーリング解析が改良され、汎用で高信頼・高効率な解析法に発展した。2020年度は以下のような成果を得た。
(1)Event-chain法と呼ばれる大域更新のモンテカルロアルゴリズムを非平衡緩和法に適用可能性を検証し、動的秩序変数に要求される条件や、サイズ依存性を排除するための条件を詳明らかにした。臨界指数を精密に決定する「ゆらぎの緩和」の実効性も検証し、概ね良好な結論が得られた。
(2)特異な臨界指数を持つエクスプローシブパーコレーション系において、通常の有限サイズスケーリングとは異なる、サイズに依存しないスケーリング解析を開発し、転移濃度と臨界指数の評価法を確立した。。厳密解のある模型で高精度な評価が可能であることを確認し、既存の有限サイズスケーリングの結果の問題点を見出した。
(3)3次元イジングスピングラス模型に動的スケーリング解析を適用し、温度対不純物濃度面の相図を精密に決定した。ビンダー比による臨界指数zの外挿に成功し、スピングラス相境界に沿ってスピングラス臨界指数が普遍性を示すことを数値的に示し、スピングラス系における臨界普遍性の存在を強く示唆する結果を得ることが出来た。