抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 12800000, indirect: 3840000)
本研究は、高緯度の極冠域境界において磁力線沿いに発生する超熱的電子バースト現象と電離圏F領域高度に生じる中性大気の局所的な加熱現象について、電離圏の上方で起きる電離圏アルベーン波共鳴がどのようにかかわっているのかを明らかにすることを目的としている。本年度は、次年度からの北極域での独自の地上磁場観測に向けて、京都大学において磁力計を中心とする自動観測システムを製作した。また、超熱的電子バーストが特徴的な赤色オーロラを引き起こすことから、これまでに極冠域境界付近で得られた赤色オーロラのデータを詳細に解析するとともに、そのオーロラの上空を飛翔するSwarm衛星の磁場・イオンドリフトデータを解析する環境を整え、動くメソスケールの赤色オーロラと磁場・イオンドリフトの特徴的な変動の同時観測の事例を見いだした。それにより、極域の高度500km 付近で同定されるアルベーン波は、緯度幅が20km 程度の領域でバースト的に強くなっていること、その領域は、超熱的電子バーストが生じている領域の端に対応していることが明らかになった。さらに、電離圏と熱圏のダイナミクスの数値シミュレーションモデルを用いた研究からは、電離圏アルベーン波共鳴を引き起こす電流を電離圏の遥か上方の高度 4000kmから入れると約1時間で高度350kmから400km付近を中心にして中性大気質量密度が局所的に増加する「セル」が形成され、このセルの増加量が、カスプ域においてこれまで衛星観測で得られている平均的な値を説明できることが分かった。また、セルは、高度300kmより下方のF領域において中性大気が加熱されて上方へと加速され、それが高度350kmから400kmの間で減速することにより生み出されていることも明らかになった。