抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 13400000, indirect: 4020000)
スポーツ及び日常生活における種々の運動技能は、繰り返しの練習・学習によって脳に獲得される。運動の学習を導くためには、脳において生成される誤差信号が重要な役割を果たしており、運動の制御及び学習に重要な役割を果たしている小脳においては、延髄の下オリーブ核ニューロンの軸索である登上線維が小脳プルキンエ細胞に誤差信号を伝えていると考えられている。
本研究においては、マウスを対象に運動の適応・学習パラダイムとして、左右分離型ベルトトレッドミル(split-belt treadmill)における歩行課題を課し、左右のベルト速度を変化させたsplit-belt条件での適応と、その後で左右のベルト速度を同一に戻したtied-belt条件の際の後効果(after-effect)を運動学的に解析した。この歩行課題における小脳の役割を明らかにするために、小脳プルキンエ細胞の変性・脱落を生じている脊髄小脳失調症6型モデルマウス、プルキンエ特異的mTOR活性化マウスを調べた結果、適応や後効果に顕著な障害が認められた。
さらに、この適応に関わる小脳の領域を特定するために、ローズベンガル (rose bengal)と緑色レーザー光を用いたphotothrombosis法による小脳梗塞を小脳の特定の領域において誘発する実験系を確立した。
研究計画においては、in vivoカルシウムイメージングとして、活動依存性マンガン造影MRIを適用して、運動学習時にプルキンエ細胞集団としてカルシウム濃度の増大が生じているhotspotsを同定し、時空間的なパターンについて調べる予定であったが、マウス用MRIの故障により、他の代替方法によるカルシウムイメージングを準備している。