抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(C), Fund Type: competitive_research_funding, Overall Grant Amount: - (direct: 100000, indirect: 30000)
スピーチを行う場合、話し手は言語情報だけでなくパラ言語情報(意図的に表出する感情・意図・態度)をも伝達することで聞き手に伝わる表情豊かなスピーチとなる。本研究では、日本人英語学習者が英語でスピーチを行うときに、その音声にどのような音響的特徴が現れればパラ言語情報が聞き手によりよく伝わるようになるのかを明らかにすることを目的とする。本研究では独自に作成したスピーチ原稿と教材音声で英語学習者の発話訓練を行う計画である。訓練前後の音声の音響的特徴と聞き手の心理的評価結果について多変量解析を行い、どのような音響的特徴がパラ言語伝達に関連するのかを明らかにする予定である。得られた知見は、英語教育の現場で英語スピーチの指導に役立てることができると期待される。
感情表現にフォーカスした英語スピーチ力を育成するという上記で述べた本研究の最終的な目的を念頭におき、まずは実験用のスピーチスクリプトを作成する参考とするため、実験参加者が感情を込めやすい状況やスピーチ内容について情報を収集する計画を立てた。本実験では日本人英語学習者の大学生を対象として実験を行う計画であるため、情報収集においても日本人大学生を対象に、特定の感情が湧いた状況をヒアリングすることとし、ヒアリング用のアンケートの作成を行った。研究代表者の山下がアンケート項目のドラフトを作成し、分担者の冬野が11名の学生を対象にパイロット実験を実施した。パイロット実験で特に問題が見られず、アンケートの有用性が確認できた。その後、石井が117名の学生を対象に本実験を行った。
モデル音声作成の研究課題では、英語学習者の英語訓練を促進することを目的とし、スピーチの訓練を受けた英語母語話者の収録音声と、その音声に対するパラ言語情報のラベリングを用いて得られる、パラ言語情報の評価値と音響的特徴の相関の高いモデル音声を作成し、声質変換システムを用いて自分の声質をモデル音声へ変換する。本研究期間ではモデル学習のための事前実験として英語学習者および英語母語話者の現場での実環境音声収録、音響解析のための環境整備と声質変換モデルの考案を実施した。後者については具体的には入力特徴量中の指定属性を軽減させた潜在特徴抽出が可能なFaderNetworkを応用して、入力される英語学習者音声から得られるアクセント属性を軽減した特徴量と、英語母語話者のアクセント属性を復号器に通すことで学習者の話者性を保持したまま英語母語者のアクセントを持つ音声を合成する手法を検討しており、話者変換タスクにおける簡単な動作確認を行った。