抄録
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 基盤研究(B), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 13400000, indirect: 4020000)
環境要因がもたらす社会性ストレスは,末梢の炎症性サイトカインの産生を亢進させ,抑うつ行動を誘発することが指摘されているが,近年では,運動による身体への周期的な振動刺激が炎症性タンパク質産生の低下を誘導することが報告されている.しかし,このような外部からの物理的な振動刺激が,末梢の炎症因子,並びに,脳の認知機能や情動にどのように作用するのかは明らかになっていない.本研究では,社会性ストレスから脳機能を守るための骨格筋ヘの振動刺激による影響とその機序を明らかにすることを目的とする.
2023年度は,慢性的外因性ストレスモデル作成,及びそれらの改善を目指した自発的な身体活動による影響を把握することを目的として,環境刺激が外的ストレスとしてどのような影響を及ぼすかにフォーカスし,発現変動遺伝子の検証を行った.また,振動刺激による血管透過性の検証も実施した.有酸素性運動による脳機能の向上が指摘されているが,自発的な身体活動を促す豊かな環境モデルでは,ランニングホイールの有無による影響を考慮していない先行研究が多く存在する.そこで,豊かな環境におけるランニングホイールの有無と発現変動遺伝子を検証した結果,豊かな環境条件への曝露は,17の発現変動遺伝子が示された.特に,ランニングホール有り群では,ランニングによる全身性の振動が高値を示し,さらに多くの遺伝子発現の変化がみられた.また,後肢筋への局所の振動刺激による血管透過性を検証したところ,振動直後に高まる可能性が示唆された.以上の結果から,全身,及び局所の振動刺激は,生体内の生理応答に影響を及ぼす可能性が考えられる.