抄録
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 138900000, indirect: 41670000)
学術変革領域(A)「2.5次元物質科学」において、本分析班(A03班)の役割は、2.5次元物質で発現する特異な構造や電子状態の解明に資する分析手法や技術を開発し、その学術の発展を支えることにある。具体的には、本班が供する先端分析技術やそこから明らかとなる学術的知見を通して、集積化を含む物質創製や新奇物性、機能創出によるデバイス応用研究などを支援するとともに、「2.5次元物質科学」の基盤となる分析科学の学理を担う事を目的としている。
昨年度に引き続き、2.5次元物質の研究に資する先端光学などの分析手法の高度化を進めた。特に、二次元物質を積層した際に生じるモアレ構造などの特異な系を対象として、第二高調波発生、極低温発光分光、時間分解分光などの先端光学手法が可能な装置群を広く整備し、領域内外の共同研究に供した。また、X線回折技術として、グラフェンインタカレーションのその場観察実験を開始した。SPring-8の薄膜X線回折のビームラインで最初の回折実験を行った。その結果を基に、次回以降の実験計画を策定した。加えて、10マイクロメートルサイズのデバイスの構造評価が領域内で重要であることがわかってきたため、その実験を行うための調査を進めた。電子顕微鏡技術および分光技術に関して、可視光領域の吸収スペクトルを角度分解能をもち測定する技術の応用に着手した。それによって、単層グラフェンのギャップやπ励起の分散関係の情報が実験的に得られつつある。角度分解光電子分光を用いたバンド構造の精密測定手法の確立によって、対称性の変化や層間距離の増大に伴う電子構造の変化といった2.5次元物質に特有な物性現象を観測することに成功した。また、電子回折およびX線回折を用いた結晶構造の超高速変化の観測や精密構造評価を行うことによって、電子構造と結晶構造を相補的に分析する技術の開発に取り組んだ。