抄録
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 3300000, indirect: 990000)
2021年度は、Ni2P(10-10)面に形成する1x1構造上では当初期待していたようなPtを大幅に上回る活性を見出すことが容易ではないことがわかった。これは、当初水素の結合エネルギーから高活性と期待していたP終端表面では、表面を終端しているPと水素原子との結合と比べ、同Pと表面第二層のNiとの結合が弱いため、水素生成よりPH3脱離が優先してしまうためだと考えられる。Pが脱離しNiが露出した表面では、水素の吸着エネルギーを指標とするとそれほど高い水素生成能は期待できないことを我々は第一原理計算から既に示している。複雑な表面構造を形成する金属―典型元素化合物では、水素生成反応中に表面構造が変化することもあるため、一般的に用いられているような水素吸着エネルギーを指標としたvolcano plotから単純に触媒活性を予測することはできず、その反応経路も含めて検討する必要があることが示された。本研究のもう一つの目的は、水素生成反応の機構を解明することであるので、既に高い活性が知られているPtナノ粒子の電気化学条件下での表面状態を明らかとするためオペランド条件でのXAFS測定と第一原理計算を行った。Pt単結晶表面上では、その構造と吸着種の状態が広く研究され、既にわかっていることも多いが、実際触媒として用いられるPtナノ粒子の構造やエッジ、コーナーなどの局所構造の活性予測などはほとんど進んでいない。Pt粒子が劣化すると水酸基の吸着量が増え、一方で水素の吸着量が減少することがわかった。これらの相関の理解は、更なる第一原理計算による検討が必要であるが、Pt粒子の構造の制御が水素生成能の向上に必要であると考えられる。今後、Pt粒子の準安定構造を含め、様々な構造について、水素の吸着状態を明らかとしていくことが課題と考えられる。