抄録
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (S), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 144700000, indirect: 43410000)
本研究では、光波の応答関数として特性を直接得る分光技術原理を創出することを目的とし、マルチコム光源とマルチ分光技術の開発を行う。
本年度は、計画の初年度にあたり、複数の光コムどうしが精密な関係を持つ光源を高度化して波長域拡大を行うとともに、分光対象拡大のために重要な分光信号検出の高感度化手法を検討した。
まず、光源開発においては、技術蓄積のある近赤外1.5μm波長域のエルビウムドープファイバレーザーの光コム出力をもとに、独自技術であるリング型共振器の左右回転双方向出力による一体型デュアルコムレーザーを高度化した。分散補償した光ファイバ増幅器を開発してコヒーレンスを維持しながら高出力化するとともに、光コムの繰り返し周波数とキャリアエンベロープオフセット周波数信号を検出して性能を評価し、受動安定化の実現を確認した。次に、波長域拡大においては、双方向型デュアルコムレーザーの出力をもとに、高非線形ファイバと導波路型非線形光学結晶によって高効率な波長変換を行い、豊富な分子の指紋領域として応用上有用な波長2-4μm帯の中赤外光と可視光領域の広帯域光発生を実現した。デュアルコム分光に適用するためには高コヒーレンスが不可欠であるが、実際に中赤外光の双方向出力を用いて波長帯ごとに相互干渉信号を生成したところ、全帯域にわたりシングルショットでインターフェログラム信号検出に成功した。さらに環境ガスとして重要なN2Oガスセルに適用して基礎特性評価を行い、中赤外分光への適用性を実証した。
さらに、光コムの位相制御を活用し、分光信号の高感度取得法を考案した。光コムの2つの周波数パラメータを電気的に制御し、動的な光干渉信号波形の位相を制御することによって分光情報の高感度化手法を実現した。シミュレーションと基礎実験を行って手法原理の妥当性を検証し、環境変動による長期不安定性に有効であることを示した。