抄録
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 3400000, indirect: 1020000)
本年度は量子ドット(QD)超格子を有する光導電アンテナ(PCA)デバイスの光・電気静特性評価に重点をおいて研究を進めた。検討用試料は、半絶縁性GaAs基板上に成長したInAs/GaAs QD層(20層)積層構造で、メサ構造PCA素子(電極間ギャップ6 μm)を作製し、計測用マウントに実装して使用した。
量子ドット準位励起光照射下における光電流特性を測定した結果、弱励起ではQD基底準位、励起準位による光電流ピークが現れ、光電流は励起光強度に対して線形に増大するが、強励起ではサブリニアな依存性を示した。レート方程式による光電流の励起光強度依存性の解析を行った結果、弱励起ではQD準位のキャリアの熱脱出による光電流生成が支配的であるが、強励起ではGaAs バンドギャップ中の準位にトラップされたキャリアの光励起が強く影響することが明らかになった。この結果は、光通信波長帯の光励起下での動作に対応できる可能性を示唆するものである。
一方、光電流の半導体材料特性との関係を調べるために、光誘起電流のマッピング計測を行った。PCAと同一の結晶構造を用いて電極ギャップ長が大きい(100 μm以上)素子を製作し、独自に構築した顕微光学系を用いて、この素子の電極間表面にレーザービーム(径約1 μm、波長532 nm)を掃引照射することで光電流2次元マップを得た。印加電圧依存性から、電極近傍のバンド形状ベンドしており、電極がショットキー接合的になっていることが分かった。また、電極間の光電流プロファイルから、キャリアの拡散長が約3.5 μmであることが分かった。これらの結果は、既に行った超高速光パルスによるキャリア寿命測定の結果と矛盾せず、上述の光電流の励起光強度依存性とあわせてPCA素子構造設計および光励起条件決定に関する有益な知見が得られた。