専門
新規ナノ光材料や半導体微細構造における光物性実験を専門としています。 量子ドットやナノワイヤ等の量子閉じ込め構造の光学的性質、および、 それらと発光中心との相互作用を明らかにするための研究を行っています。 大きさがナノメートル(10-9 m)領域になった半導体微細構造では、 その中の電子のもつ波としての性質が顕著になってきます。 そのため、発光する色や応答速度等が、通常の大きさの半導体とは変わってきて、 自由に制御できる可能性がでてきます。また、そこに蛍光イオンを導入することにより、 通常とは異なる強度や色で発光させることができます。 このような新規ナノ光材料を創出し、その構造や発光メカニズムを解明しようとしています。 低消費エネルギーに資しかつ環境に調和した新物質および新現象を探索しています。 これまでの研究において得た結果の例を記します。 LED電球でエネルギー蓄積可能な赤色の硫化物残光蛍光体を得ました。残光(蓄光)蛍光体は、安全標識や時計の文字盤等に緑色のものが実用化されています。しかしその性能は発展途上で、暗がりで電気スイッチの位置を示す残光シールが翌朝まで十分な明るさで光り続けることはありません。そして現状の残光蛍光体は、紫外光でエネルギーを蓄積します。現在普及がすすんでいるLED電球は紫外光成分を含まないため、残光の強度は小さく時間は短くなってしまいます。そこで、赤色に発光するイオンとエネルギー蓄積に寄与するイオンを選び、ヨウ素蒸気を援用するという独自の蛍光体作製手法により、実用化にいたっていない赤色残光を得ることに成功しました。微弱光を注意深く検出する実験により、可視光によって、赤色残光をもたらすエネルギー蓄積が生じることを明瞭に示しました。残光の強度と時間をさらに伸長するための研究を継続しています。昼間の太陽光をうけて夜中じゅう翌朝まで光り続ける残光シールが実現したとすると、街灯のない道路のガードレールにはれば昼間の太陽エネルギーを夜間に光として使用できることになります。省エネルギーおよび安全安心な社会のためにおおいに資することになります。 シリコンを構成元素に含む新しい黄色蛍光体を見い出しました。 蛍光体の母体材料としてGd4(SiS4)3およびY4(SiS4)3を 発光ダイオードなどの青色光で励起すると、 3価のセリウムイオンが黄色で発光します。効率は最高で62%に達します。 これまでの蛍光体では、セリウムイオン自身を青色光で励起する ことが多いのですが、この蛍光体では 母体を励起してもセリウムイオンまでほぼ100%の効率でエネルギーが 伝達されることがわかりました。 様々なイオンを用いて様々な発光色を得る、 母体の材料を制御して変更することにより様々な励起光源が 使用可能になる、などの利点が考えられます。 Ca2SiS4:Eu2+などの新しいチオシリケート蛍光体材料は、粉末体の作製報告がいくつかなされていました。それらをシリコン基板上に作製することに成功しています。LSIを用いた光源などに 応用できる可能性があります。バリウムやカルシウム、ユーロピウムといった 材料を適切に選んでやることにより、緑色、黄色、および赤色に対応する発光スペクトルを 得ました。