研究業績リスト
その他
作成日時 1995–1995
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 重点領域研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 900000, indirect: -)
2つのテーマの研究を進展させた.
[1]「反射モードの共鳴近接場光学顕微鏡における双極子選択則の破れ」
先端を尖らせた光ファイバーのような局在した空間を介して試料に光を当て,かつ応答の光を同じ部分から信号光として取り込む反射モードという測定法においては,従来のほとんど全ての光学測定で常識となっている電気双極子選択則が成り立たないことを予測した.これはその選択則を導く長波長近似が成立しないことによる.簡単なモデルとして共鳴準位を持つ10個の半導体球を等間隔で1列に並べた試料を考え,同様な球をプローブとして反射モード測定を設定し,プローブ球の位置の関数として信号強度を計算した.モニター光の振動数を試料のいろいろな固有エネルギーに合わせて計算したが,電気双極子許容モードも禁止モードも同様な強度を与え,予測の正しいことが確かめられた.
[2]「基盤の効果の光グリーン関数への繰り込み」
試料をのせる基盤は通常一定の局所的誘電率を持つ誘電媒質と考えられるが、これまでの我々の非局所理論の枠組みでは,それを無視するか有限個の自由度でのみ扱ってきた.この点を改善するために,全系の分極を非局所的な共鳴分極と局所的な下地部分に分け,下地部分の効果を光の伝播を表すグリーン関数に繰り込み,これによる非局所応答理論を再構築した.これによれば下地効果も含めた共鳴応答を少数個の自由度に対する連立方程式で扱える.新たにつけ加えられる効果の主なものは「電磁場モードの変調による輻射補正の変化」と「鏡像双極子による実双極子の共鳴エネルギーのシフト」である.簡単なモデルとして半無限基盤上の半導体球を考え,その輻射シフト・幅の位置依存性,近接場分布が基盤効果により変化する様子,別な球で信号をモニターしたときの像の形を議論した.
その他
作成日時 1994–1994
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 重点領域研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 900000, indirect: -)
走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)の理論的研究を目的に、半導体球の集合体で試料やプローブを表すモデルに対して非局所応答理論を適用して、光の周波数が試料の励起エネルギーに共鳴しているときの信号強度を、プローブ先端部の位置の関数として計算した。プローブは1個または数個の微小球とし、試料を含む全系の非局所応答のうちプローブに誘起された分極がつくる電場強度を「信号強度」とした。光の入射と受光のモードとしては(1)平面波入射でプローブ端受光と、(2)プローブ端で入射も受光も行う、の2通りの場合を考察した。
(1)の場合の目的の一つは、「試料に誘起された分極を正確に測るには、プローブ先端と試料を極端に近づけなければならず、必然的に両者間に強い相互作用が予想される」という前年度の結果に基づいて、相互作用の効果を調べることである。光がプローブにも共鳴していると、等信号強度曲線は実際の試料の形状に比べてはるかに先鋭な形状になる。これは、光の共鳴条件が試料とプローブの相対位置に非常に敏感なためで、configurational resonanceと呼ばれることもある。
通常の光学実験ではほとんどの場合入射光が試料の電気双極子を励起し、その双極子が信号光を発する。しかし上述の(2)の場合、光の出入りを支配するプローブ球は波長よりはるかに小さいので、試料に共鳴的に励起される分極は電気双極子である必要は全くない。多重極成分は遠方では振幅が急減するが、近接場としては双極子場の振幅と比べて全然遜色がないので、近接場強度で決まるプローブ球上の分極(すなわち信号強度)は、双極子共鳴の場合と同程度になり得る。簡単なモデルを用いて、この予想が正しいことを示し、誘起多重極の共鳴周波数と空間構造の両方を精密に観測する全く新しい分光法を提案した。
その他
作成日時 1993–1993
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 重点領域研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 1600000, indirect: -)
本研究の目的は、代表者の提唱している微視的非局所理論を用いて、フォトンSTM(あるいは近視野走査型光学顕微鏡)の分解能の限界やそれを達成するための条件、予想される問題点、先行している他の走査型顕微鏡にはない独自性を理論的に明らかにすることである。今年度は、共鳴準位を持った、半径15Aの半導体微粒子を様々に並べた系[a)1個の系、b)間隔50Aで一列に100個並べた系、c)更にその上に微粒子を1個乗せた系、d)正方格子状に並べた系]による近接電磁場を計算し、分極のpatternとの対応関係、光の振動数や偏光方向、電子構造に対する依存性を調べた。その結果、近接電磁場強度は、試料からの距離が微粒子の間隔かそれ以下の時、分極のpattern(の2乗振幅)とよく似ていることが分かった。但し、微粒子の間隔程度の空間分解能を失う距離は、系の幾何学的な構造に強く依存する。より遠くでは、(今まで知られていなかった)かなり複雑な振る舞いを示し、系の構造や入射光の分極の方向によっては、分極のpatternとは異なった近接電磁場分布が現れることも分かった。これらは、波長より小さな試料内に誘起された分極を源として放射される散乱光が、距離に対して(方向に依存した)冪で減衰し、指数関数と比べて、近くでは速く、遠くでは遅く減衰する性質を反映したものである。この範囲の距離では、入射光の波長(計算では3800A程度)は、あまり重要な意味を持っていないと考えられる。一方で、微粒子の間隔程度の空間分解能が無い距離においても、分極密度に応じて異なる近接電磁場分布が得られ、依然、分極の情報を持っていることが分かった。上記の1次元系に対して、probe先端を1個の微粒子と近似した計算も行った。今までのところ、単に分解能が下がる効果のみが確認されているが、probeの効果について、今後詳しく調べる予定である。
その他
Nonlocal Theory of Linear and Nonlinear Optical Responses
作成日時 1992–1994
Offer Organization: Japan Society for the Promotion of Science, System Name: Grants-in-Aid for Scientific Research, Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C), Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 2000000, indirect: -)
Applying the nonlocal response theory developed by us, we have studied the following problems with the results described respectively. [1] Optical response of the assemblies of semiconductor microspheres : Resonant response spectrum was studied as a function of particle number, the way of their arrangements, size, and geometrical configuration. Radiative correction is explicitly included. The same analytical expression of radiative width as in QED is obtained for a single sphere and 1D and 2D infinite lattices. [2] Study of photon STM : By extending the results of [1], we have calculated the near field intensity map of a resonantly irradiated sample and the signal intensity in transmission and reflection geometries. The effect of configurational resonance is predicted, and the breakdown of electric dipole selection rule in reflection mode has been demonstrated. [3] Optical Stark effect of excitons and biexcitons in a slab : A consistent description of nonlinear spectra has been given for the size dependence in the region of 100 A-10000 A thickness. The development of wave number section rule is clearly shown. The calculated spectra show optical Stark shift, resonant broadening and two photon absorption simultaneously. [4] Formulation of Mossbauer diffraction : A nonlocal formulation has been given for a stack of 2D atomic layrs, and the condition of the enhancement of radiative width is studied. [5] SHG from the 2D electronic bands at insulator/semiconductor interface : A nonlocal formulation of resonant SHG due to atomically thin 2D layr has been given without employing the doubtful argument of boundary conditions. The use of 2D periodicity and the long wavelength approximation for the direction of thickness leads to a simple equation to be solved.
その他
作成日時 1991–1991
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 重点領域研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 1000000, indirect: -)
〔1〕非局所理論の形式をさらに一般化して,1個の原子からバルク結晶までが同じ理論形式で記述されるようにした。この形式によると,物質の励起状態の放射寿命が系のサイズや形を反映するように求められる。これを真空中の2準位原子にあてはめると,QEDで知られた放射寿命が正しく導かれるので,この理論の信頼性が確かめられる。系のサイズ増大により振動子強度が増すと,放射寿命幅や非線形応答強度も増すが,そのようなサイズ増強効果や飽和の振舞いをこの理論では正しく扱うことができる。〔2〕ポンプ・プロ-ブ型の非線形分光では信号強度は,χ^<(3)>のみならずポンプ光の内部電場強度Iによる。従来はχ^<(3)>のサズ依存性のみが注目されてきたがIもサイズとともに顕著な変化を示すことを,CuC1薄膜の励起子共鳴にたいして具体的に導いた.Iのサイズ変化は共鳴的に起こるので,χ^<(3)>のサイズ依存性と合わせて考えると,χ^<(3)>のサイズ依存性が飽和する直前に非線形信号強度が特に大きくなるサイズの存在することが期待される。CuC1薄膜の場合,これは250A付近の膜厚に対して起こることが計算により示された。〔3〕放射寿命のサイズ・形状依存性はこれまで長波長近似の範囲か1または2次元の無限結晶についてのみ調べられただけで,非局所性の顕在化による長波近似からのはずれや飽和については何も解っていない。この問題を非局所理論の応用として考えられるため,共鳴準位を1つもつような半導体微粒子を1列に並べた系の共鳴散乱を計算して,共鳴ピ-クの幅から放射寿命のサイズ依存性を求めた。その結果,長波長近似からのはずれは波長の1/10程度のサイズから顕著になり,波長程度のサイズでは寿命幅のサイズ増大は飽和することが解った。
その他
作成日時 1990–1990
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業, Category: 重点領域研究, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 1000000, indirect: -)
1.励起子閉じ込め系の3次非線形感受率X^<(3)>のサイズ増大に関する従来の理論の欠陥として「散乱機構を現象論的に取り入れているにも拘らずサイズ増大が飽和しないこと」「それを補うため、ミクロなモデルとは無関係にコヒ-レント長を導入し、理論の成立範囲をそれ以下のサイズに限定するという一貫性の欠如」「X^<(3)>に寄与する諸項の間に必然的に存在する相殺の問題が正しく扱われていないこと」を指摘した。相殺の問題を正しく考察することによりこれらの欠陥を克服し、一貫したモデルによる「サイズ増大と飽和」の議論が可能であることを、1次元周期格子上の相互作用しないフレンケル励起子について、厳密な解析解の性質と数値計算に依って示した。その結果、X^<(3)>には、サイズNと移動エネルギ-bに対する顕著な増大効果を示す領域があるが、大きなNとbに対しては飽和すること、増大の領域はNとbおよび減衰定数により決まっていることがわかった。
2.従来、非局所的なX^<(3)>を含むMaxwell方程式を解いて応答を求める理論は皆無であったが、線形応答におけるABCーfree理論を非線形応答に拡張することにより、この問題の取扱が可能であることを示した。この定式化によれば問題の中心的部分は誘起分極の展開係数をselfーconsistentに決める連立3次方程式を解くところにあり、系のサイズがあまり大きくないときは、これを数値的に解くことができる。有限サイズの1次元フレンケル励起子系に対してこの計算を実行し、長波長近似の結果と正しい非局所理論の結果がどの程度のサイズから食い違い始めるかを調べた。その結果、両者の違いはサイズが光の(媒質中での)波長の1/10程度になるとはっきり現われ始めることがわかった。
3.メゾスコピックなスケ-ルで不均一な媒質の光学応答を与える、さらに一般化した非局所理論を定式化した。