研究業績リスト
その他
作成日時 08/2022–03/2023
Offer Organization: 二〇二二年度東アジア文化研究交流基金若手研究者研究助成事業, System Name: -, Category: -, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: -, indirect: -)
その他
君主号からみた中国魏晋南北朝隋唐時代における多民族社会の変容
作成日時 24/04/2020–31/03/2023
Offer Organization: 日本学術振興会, System Name: 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, Category: 特別研究員奨励費, Fund Type: -, Overall Grant Amount: - (direct: 3700000, indirect: 1110000)
本年度は、研究課題で取り扱う君主号の中から「単于」を選び、研究を進展させた。それのみならず、去年度に主に遂行した天王に関する研究、及び次年度での研究を予定していた天可汗に関する研究にも、一定の成果を挙げた。
本来の君主号は単于であったのを、「大」単于として五胡十六国時代を切り開いた背景には、劉淵による単于権威低下の克服があった事を明らかにした(六朝史研究会報告「大単于始末記」)。また匈奴南単于は後漢末以来、徐々に夷狄としての実質を失っていき、西晋において儀礼の上で夷狄として遇されるよりも、却って百官と同じ待遇を得るように変化していったことを明らかにした(中国社会科学論壇報告「西晋的単于」)。大単于を君主号として用いた国の一つ南涼に検討を加えるにあたって、その君主氏族である鮮卑禿髪部の動向を整理した。その結果、鮮卑禿髪部の先祖とされていた樹機能が、通説の鮮卑禿髪部ではなく、実は羌であった事が判明した(三国志学会報告「「禿髪樹機能の乱」再考」)。
天王を君主号とした国の一つの北燕がが周辺諸国と如何なる関係にあったのかを分析すると、彼らの自称が燕であるにも拘わらず、南朝の劉宋では黄龍国と呼ばれていた。その背景には、天子と密接な関係を有する天王という語を南朝側が記録し難かったからという事情があった事を明らかにした(六朝学術学会報告「「黄龍国」小考」)。以上に述べてきた大単于と天王に対する筆者の知見を整理した拙稿「「漢」との距離感」を含む『漢とは何か』(永田拓治ほか編、東方書店、2022年)を、共著書として上梓した。
最後に唐太宗の天可汗は従来、北・中央アジアに君臨すると理解されてきたが、突厥との関係における存在であり、斯様な拡大解釈は唐人によって既に行われていた事を明らかにした(六朝史研究会報告「現実と観念の天可汗―唐代における天可汗の拡大解釈―」)。